The development story for TENES

災害に強い日本社会の実現に貢献したい。

日本は災害大国であり、
それにより多くの人命と経済損失を被っています。
災害への備えは、一人一人が意識をし、
対策を講じることが一番です。
しかし、それに加えて、同じくらい大切なことは、
近くの公共施設が災害対策を実施していることです。
なぜなら、人間1人の力では限界があるからです。
そういった機関や施設が災害の砦になることで、
より多くの人が救われます。
私どもは、そのような災害の砦を
ひとつでも増やしていけるようお手伝いをし、
「災害に強い・安心安全な社会」の実現に貢献したいのです。

2011年 東日本大震災
時の経験

発端は東日本大震災の時でした。
震災当時、病院や老人ホームの職員の
方々が、ポリ缶をもって弊社の油槽所に
駆け込んで来られて、
「油を分けてほしい!」
と懇願されました。
事情を聴くと、「ガソリンスタンドは給油
のために車が数珠つなぎになっていて、
スタンドの店員から列の一番後ろに並んで
くれと言われた。そんなことをしていると
病院の非常用発電機が止まってしまう。
そうなると集中治療室が停止してしまう。
酸素が止まってしまう。患者さんの命が
かかっているんです!」
ということでした。

災害等で電力・ガスの供給途絶が起きた
場合、病院や福祉施設等の機能を非常用
発電機で維持するのが通常で
ありますが、発電機の燃料不足で、
72時間まで非常用電源が持たないことが
多々あります。
実際、非常用発電機に付属している燃料
タンクは小さく、 フル稼働すると4~5
時間で燃料切れを起こしてしまいます。
非常用発電機が止まってしまうと、
集中治療室や人工呼吸器が停止する事態
となってしまうのです。
私どもはこの時の経験から、
「病院などの重要施設が平時から石油を
備蓄しておく必要性」を痛感し、
「非常用発電機用石油燃料備蓄タンク
(TENES BCPリザーブタンク)」

の開発を決意いたしました。
卸売業から燃料備蓄タンクの製造メーカ
ーへの転換を決断したのです。

タンクローリー給油作業

市場調査

まずは、顧客と非常時の優先供給契約
(災害時、予め契約をしているお客様に
優先的に燃料を配送するサービス)を締結
している石油販売業者(例:ガソリン
スタンド)とお客様の声を広範囲に調査
しました。調査の結論は以下のとおりです。

①東日本大震災時の輪番停電の際、優先
供給契約はほとんど実施されなかった。
②優先供給契約は、顧客への供給を
保証するものではない。
③震災時、石油販売業者は流通在庫を契
約先に供給する余力がほとんどなかった。
④幹線道路が地震によって遮断され、
輸送できない場合があった。
⑤大規模災害時、緊急車両がガソリン
スタンドに行き、その時に設けられている
緊急車両専用レーンで給油をしようとした
場合、すでに長時間給油のために並んで
いた一般客と揉めることになる。暴力沙汰
を防ぐためには警察官を常駐させることが
必要である。すべてのガソリンスタンドに
警察官を配置することは不可能である。
⑥製油所が稼働を停止し、ガソリン
スタンドへの石油が来なくなる。
(東日本大震災時に実際に起こったこと)

以上のことから、次にまた震災が起きた時
には、同じ状況になる可能性が高いと
捉えました。
つまり、顧客が自ら手元に、最小限必要な
燃料を平時から保管しておく以外に確実な
方法はないと考えたのです。
そこで、燃料備蓄に関して再度、お客様へ
のヒアリングを開始しました。「常時、
手元に、最小限必要な燃料を保管しては
おきたいが・・・。」
とのことでしたが、見えてきたのは
以下のことでした。

①燃料タンクが無骨すぎて、デザイン性が
まったくなく、とても人目につくところ
には置けない。せめて邪魔にならない
デザインのモノはないか?
②タンクが鉄製でサビてしまい、
石油漏れが怖い。
③タンク設備が大きくて、適当な場所が
とれない。コンパクトなタンクはないか?
④地震の時にタンクが転倒して油が流れ、
発火の原因になってしまうのでないか?
⑤夏の炎天下で、燃料が発火して
しまうのではないか?

当時はこれらに相応しい製品が
ありませんでした。そこで、私どもは
「無いのならば、自分達で作ろう!」
と思い至ったのです。

デザイン・製造の
ノウハウが全くない...

お客様の要望をヒアリングして構想が
見えてきたところで、「コンパクトで、
デザイン性に優れながらも、少量危険物
としての規制もクリアできる安全性を
兼ね備えた燃料備タンク」を業界で
初めて開発する決意をした のです。

しかし、モノのデザイン、製造を
したこともない弊社は、何ら
ノウハウはありませんでした。
そこで初めに取り掛かったのは、産学連携
の候補相手探しです。大学と組むことで、
その分野での知識・技術に精通した研究者
と共同開発をすることができる、さらに
民間企業と組むよりも開発費用を抑える
こともできる。こういったメリットが、
産学連携にはあることが分かり、大学との
共同開発を視野に入れたのです。
結果として、2017年から千葉工業大学
創造工学部デザイン科学科の佐藤弘喜
教授と共同開発をすることになりました。
防油堤一体型の二重殻構造、通気管、
給油口といった機能を備えつつ、
コンパクで外観が美しい燃料備蓄タンク
のデザインを依頼しました。
燃料備蓄タンクとしての必要機能を弊社
から提案できたのは、石油卸売業者
として培ってきたノウハウがあった
からです。
その後2年半の紆余曲折を経て、
十分な性能かつ最もコンパクトで、
工業デザインを取り入れた業界初の
燃料備蓄タンク
の製品設計図が
完成しました。
デザインのプロが創った製品デザインを
尊重して製造ができる業者を選ぶことが
第一条件。
さらにこのデザインを生かすためには、
ステンレス製であることも必須で、ステン
レスタンク製造の技術と経験がある業者を
選定しました。

タンクの外殻・内殻の厚み、強度、架台の
強化、耐震性といった安全性の面から、
一枚のステンレス板で曲線部分の実現と
いったデザイン性の面まで、製品デザイン
を実物に落とし込むのに製造業者様には
大変な力添えをいただきました。
弊社からは石油の性質・保管に関する
ノウハウを提供し、石油燃料保管庫として
の機能を充実させました。具体的には、
内部燃料の温度上昇抑制、燃料取り出しの
容易さ、メンテナンスの容易さなどです。
これにより、試作品が完成しました。

千葉工業大学TENESタンク、サービスタンク、燃料備蓄タンク、油庫

全国で初めて燃料備蓄
タンクに免震装置を
取り入れる

しかし、まだ一つ課題が残っていたのです。
「地震の時にタンクが転倒して油が流れ、
発火の原因になってしまうのでないか?」
タンクをコンクリートにアンカーボルトで
固定したとしても、経年の劣化によって
アンカーボルトが地震のときに外れて
しまうのではないかという不安から
生まれた声です。
実際、燃料備蓄タンクは20年、30年と長く
設置しておくものであるので可能性は高い
でしょう。
さらに、弊社の開発した燃料備蓄タンクは
重心が高いため、振動にかかる力は大きく
なる。この課題が試作品完成の段階では
解決できていませんでした。
大きな地震に耐え得るためには、
耐震機能か、免震機能を新たに付け加える
必要がありました。弊社製タンクの場合、
地震の揺れそのものをタンクに伝えにくく
する免震機能が必要です。
調査の結果、設置が容易でタンク固定の
設置工事も必要ではない、タンクの下に
敷くだけで免震機能が発揮できる免震装置
を見つけました。
その装置が、アイディールブレーン㈱が
開発した「μ-solator(ミューソレーター
)」です。
全国で初めて燃料備蓄タンクに免震装置を
取り入れるということで、アイディール
ブレーン様にご協力いただき、
2019.4.19アイディールブレーン㈱川口
技術研究所にて二次元、2019.8.30㈱MTI
にて三次元の振動実験を行い、
阪神淡路大震災・東日本大震災の地震波 でも転倒しないことが実証できました。

以上のように、デザインや製造のノウハウ もない弊社が、TENESタンクの開発が できたのは、千葉工業大学様、製造業 者様、 アイディールブレーン様
のお三方の協力があってこそです。
また、知的財産権に関しては、INPIT 千葉県知財総合支援窓口の専門家による 支援を受け、特許・意匠・商標を取得しました。
(特許登録 第6548242号・
意匠登録 第1646205号 ・ 
商標登録 第6305426号(TENES))


非常用燃料備蓄タンクの開発は、TENES
事業部がこれから開発していく防災製品群
の一つです。
これらも、先の東日本大震災で得た教訓を
糧に、南海トラフ大震災等への災害対策と
して製品・サービスを開発してまいります。

千葉工業大学

受賞歴

また、有難くも、コンテスト等で
数多くの受賞をいただきました。
以下がその一部です。

・第36回ベンチャークラブちば大賞 
・第18回ベンチャーカップCHIBA
   ソーシャルビジネス賞

・2020年グッドデザイン賞受賞
・2020年千葉市トライアル発注認定商品
   に選定


TENES 発電機用燃料タンクは
72時間のシビル・ミニマムを確保します。

シビル・ミニマムとは、市民レベルで維持すべき最小限度の生活水準を指し、自治体が住民のために保障しなければならないとされる最低限度の生活環境基準のこと。

この基準に対し政府は、非常用発電機の72時間連続運転ができる燃料確保を推奨しています。
弊社が開発したタンクは990ℓと500ℓの2種類があり、安心の「免震機能・防油堤一体型・二重殻構造」が標準装備されています。今までのオイルタンクにない高性能かつ、コンパクトな設計にも関わらずデザイン性にも優れていますので、設置場所を選びません。

Securing a 72-hour “civil minimum”

TENES 500ℓ

990ℓと同様の機能はそのままに、さらにスリムな設計のため設置場所の選択範囲が広がります。景観を損ねないデザイン性でライフラインをしっかりと確保します。

TENES 500ℓ オイルタンク
TENES 500ℓ 外観1TENES 500ℓ 外観2TENES 500ℓ 外観3TENES 500ℓ 外観4

TENES 500ℓ/990ℓ SPEC.

TENES sei
サイズ 700×1800×1700mm/1000×2300×1700mm
重量 500ℓ/313kg、990ℓ/465kg
実質容量 460ℓ/990ℓ
素材 ステンレス
組立 組立不要 ※現場による
補修時 外殻を上下に分離可能。外殻部が外部からの衝撃から守り、内部の破損が生じた場合でも外殻下部が防油堤の為、安全性が高い。
安全性 消防水張検査 〇/盗難防止 〇/免震性 〇
外殻の厚み 2.0mm(内部タンクの厚み 2.5mm)
防油堤の高さ 500ℓ/500mm、990ℓ/600mm

ご注意ください

○本設備は、各市町村条例対象(少量危険物貯蔵所)に該当します。所轄消防署に事前に届出してください。○消火器・標識掲示板設置位置等については所轄消防署指導に従ってください。○防油提とみなされる高さ以下で配管・ビス等を貫通させないでください。○設置に際しては、必ず水平に置いてください。○タンクの下部は、防油堤です。中には物を置かないでください。○扉は施錠し鍵を保管してください。上部扉は任意で施錠可能。 ○免震装置は、転倒の原因となる地震の水平動を低減する装置です。 ○地震の上下動や機械振動等、転倒原因にならない振動には対応していません。○免震装置は、地震による転倒リスクを低減する装置であり、無被害を保証するものではありません。○免震装置には、地震発生時に可動範囲が必要です。設定された可動範囲内に、動作を妨げる物などを置かないでください。また、可動範囲を超えると免震機能が発揮されない場合があります。○大地震(震度5弱以上)発生後には、必ず、燃料タンクの状況を確認してください。また、免震装置は大地震発生後に残留変位(ズレ)が生じる場合があります。地震後このような状況になった場合は、直ちにTENES事業部へお問い合わせください。○搭載されたタンクを不用意に押さないでください。不意に動く恐れがあります。○下地面の瑕疵、障害により作動しない場合があります。○6階以上のフロアに設置する場合、設置の是非について検証する必要があります。○移設、転用する場合は、クリーニング処理を推奨します。(有償)○記載内容の不明点や記載していない事項につきましては、お気軽にTENES事業部にお問い合わせください。